シュウッ・・
コオッ
(数馬と蒲公英は、静乃に連れられ、桜が丘の上まで、空間移動して来た。)
(丘の上の二階建ての建物の前で、
静乃は蒲公英の母である桜に迎えられ、蒲公英を見た桜は、とても安心した様だった。)
■数馬「へぇ~っ、ちびの家って、ここなんだ~。」
(数馬は、目に着かない場所に離れ。
遠くから。 一人。 蒲公英が、母に迎えられる様子を見ていた。)
(小さな身体に。 カラフルなスニーカー、カラフルな半ズボン。
いくつものマスコットやバッジが、アレンジした制服に付いている。)
(茶色のふわふわした髪に、仄暗い街灯の下で、
かわいい帽子に付いた、ピンバッジや、
FOT No.8と刻まれた赤いバッジがきらきら光った。)
■蒲公英「ママーっ! ただいま~!」
(数馬のところまで聞こえる元気な、蒲公英の声が。
夜道に響いた。)
■数馬「・・ん。」
(数馬は、玄関の明かりの下で、
蒲公英が、桜の腕に抱きしめられる様子を見つめた。)
■数馬「ガキだな~、ちびはっ。」
(言いながら、数馬は、被っている帽子に触れた。
数馬の胸に、寂しい気持ちが。
込み上げた。)
-1-
■数馬「そういや、夏っちゃん。 どうしたかな~っ?」
「めちゃくちゃでっかい、闇のけはいだったっ!」
「電話してみよっかな~?」
(静乃と桜が、遠く。 玄関先の、オレンジ色の街灯の下で話しているのを見てから。)
(数馬は、制服にアレンジし、付けたカラフルなポケットの中から。
携帯を探し出した。)
ジャララッ
(携帯に下げられたストラップや大きな飾りが、音をたてた。)
■蒲公英「数馬くんっ!」
■数馬「わっ!///」
(ポケットを探り、下を向いていた数馬は、目の前にいつの間にか戻って来ていた
蒲公英に気付かなかった。)
■数馬「っ! なんだよっ! ちびかっ。」
「びっくりさせんなって。」
■蒲公英「えへへ~。」
(蒲公英は、楽しそうに笑っていた。)
■数馬「早く行けって。 こっちへ来んなっ! またしんぱいすんだろっ!」
(数馬は、玄関先の様子を横目で気にしながら。 蒲公英を追い払おうとした。)
■蒲公英「あ~っ。 数馬くん。 それいいな~っ。」
-2-
(蒲公英は、数馬の手にした携帯を小さな指で、指さした。)
■数馬「こっ・・これはっ! べつにっ、さみしいから夏っちゃんに
電話しようとか・・、そんなんじゃないぜっ!」
■蒲公英「?」
(数馬は何やらあわてたが。 蒲公英は不思議そうな顔をした。)
■蒲公英「数馬くんっ。」
■数馬「・・っ、何だよっ!」
■蒲公英「これっ。 ありがとう!」
(蒲公英は、胸元につけた、小さなピンバッジを指さした。)
(そこには、赤い片羽根と共に。 Friendの文字が刻まれている。)
■蒲公英「たんぽぽと数馬くんは~。 おともだち。 だよね?」
(紺色のプリーツの入った、ワンピースのスカートが。 夜風に揺れた。)
(襟元には、小さな赤いリボン。 肩ほどの長さの、薄いベージュ色の髪が、
蒲公英の笑顔に揺れる。
右横の髪にとめた、青い小鳥型の髪飾りがとても可愛らしい。)
■数馬「ん。」
「そ~・・、してやってもいいぞって、こと!」
(数馬は、ふてくされながら、頬を赤らめた。)
■数馬「けどっ! いいかっ、ちび。」
-3-
■数馬「外のせかいは、きけんがい~っぱいなんだっ!」
■蒲公英「うっ・・、うん。」
(蒲公英は、不安げに頷いた。)
■数馬「オレたちの、プロジェクトにかかわったらなっ。」
「こ~んなっ、足がい~っぱいの。
ぐちゃぐちゃした虫とか・・っ。」
(数馬が、小さな両手の指先をぐちゃぐちゃっと動かして見せた。)
■蒲公英「きゃっ。///」
(蒲公英は、小さな両手で、顔を覆った。)
■数馬「こ~んなっ、まっ黒くて
でっかいおばけが出るんだぞっ!」
(数馬は、両手を大きく広げて、怖そうな顔をして見せた。)
■蒲公英「ううっ。 たんぽぽっ、いやだ~っ。;」
(蒲公英は、泣き出しそうな顔をした。)
■数馬「いいか。 たんぽぽ!」
「もしそいつらに会ったら。
すぐにオレにしらせろよっ。
オレ、すっげー強いから、やっつけてやる!」
-4-
■蒲公英「・・ほんとに?」
■数馬「ほんと!」
「そのバッジは、そーいう意味だよっ。」
(数馬は、カラフルな服に付いた、いくつものバッジをカチャカチャと鳴らしながら。
元気良く。 蒲公英の胸元のピンバッジを真っ直ぐに指さした。)
■数馬「それを付けてれば、みんなが助けてくれるっ。」
「お前、ちっこいからな~。 すぐに闇にくわれちゃいそう・・。
いいか! ちびのことは、しかたね~から。
このオレが守ってやるからなっ!」
■蒲公英「うん!」
(蒲公英は、笑顔で頷いた。)
***
-5-
Chapter35
『遮るもの』
Fragment of Time・・・時の欠片の道しるべ
シナリオは、Chapterの各場面です。
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