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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter20 『迷子』 20-1


***

「ニャァ」

(ひとしきり御馳走になった、小さな黒ネコは。

カフェテラスの円形広場を離れ。

再び、小町通り沿いに、足を運んだ。)

トトトトッ

(小さな黒い身体は。 赤いレンガの歩道を人波を縫って
進む。)

(小町通り脇の路地。
夏樹たちの乗る。 リムジンが止まったすぐ近くで、
ふと足を止めた。)

「ニィッ」

(黒ネコの位置からは、リムジンは見えない。)

(ネコは、別の目的のために。
その場に足を止めたのだ。)

スゥッ

(丁度、ネコが止まった辺りに。
不可思議な。 景色が歪む。

現象が起こった。)

ピチャン・・

(何もない中空に。 水たまりに、投じられた一滴の雫の様に。)



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