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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter20 『迷子』 20-3


「ふぅ・・。」

(冷やかな、吐息が漏れる。)

「・・まだ・・。

この身体は、重すぎる。」

(顔を上げた男性の。

血の通わない顔つきに。

傍で見守っていた黒ネコは、微かに身を引き締めた。)

「くっ・・。

やっかいな処へ。 飛ばしやがって・・。

あの下衆が・・っ。」

(顔を上げた男性の瞳は、血の様に赤く。
苛立つ口元は、不敵に微笑んでいる。)

(乱れて四方に伸びる、青い髪が。 その男性の気性を
表している様だ。)

(男性は、長く、青い前髪の間から。
鋭い、深紅の瞳を煌めかせた。)

「まさか、こんな処にまで・・。

散らばっているとは・・なぁ・・。」

「くっくっくっ・・。」

(青髪を揺らし、血の様に赤い瞳を光らせ。 男性は笑った。)



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