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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter20 『迷子』 20-5
(時折通り過ぎる街の人々の
誰にも。 その姿は見えていなかった。)
「ニャァ」
(黒ネコは、透き通る。 男性に近づいた。)
(男性は、黒ネコに気づき、
真っ赤な目を向けた。)
「クロエ・・。」
「地上は楽しいか?」
「俺は・・反吐が出そうだ。」
(男性は、苛立ち、にやりと微笑んだ。)
(足元まである、深紫色のマントの服が、
街の風に揺れ。)
(風は、男性の乱れた青い髪を打つ。)
サァァッ
チリリッ
(街に降り立つその男性が見えるのは、クロエと呼ばれた。
ネコだけだった。)
(風に翻ったマントは。 見た事もない、星座が散りばめられたように
煌めきを放つ。)
(マントの下の。 しなやかな足や、広い胸には。 不思議な銀に光る
鎖の装飾が、連なっていた。)
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