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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter26 『予感』 26-1


***

「痛。」

(夕日が、射し込む。 風格ある白亜の洋館。
温か味のある外壁に。 オレンジの灯りが揺れる庭の前で、

千波は、温かに乾いた洗濯物を取り込んでいた。)

「どうかなさいましたか?

千波様っ。」

(メイは、かわいらしい洗濯カゴを持ち、
突然うつむいた、千波に寄りそった。)

「どこか、痛むのですか?」

(ピンク色のフリルの服に、白いレースのカチューシャ。)

(胸元と、腰に、こぼれるほど大きなリボン。
心配そうな顔で、かわいい白い靴を鳴らし。 屈み、千波の表情を覗う。)

(メイの、両脇に三つ編みをリングに結んだ髪型が、ピンク色の頬に似合い、
その仕草はとても愛らしかった。)

「大丈夫。」

(千波は、メイの顔を見て、微笑んだ。)

「・・夏樹がケガをしたみたい。」

(千波は、夕焼け空の向こう。 夏樹がいる、
空の先に、明るい茶色の瞳を向けた。)

「また、一人で無茶して。」



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