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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter20 『迷子』 20-2


(煌めく、円形の波紋が現れる。)

ピチャンッ・・

(波紋は次第に大きくなり。
止まったネコの前に。

向こうを透視する。 大きな姿見の鏡が
開いた様に見えた。)

「ニイッ」

(黒ネコは、黄色の瞳で。 目の前に広がる
水面を見つめる。)

(柔らかな毛並みの身体を、
きちんと整え。 正座して待ち。

波紋の向こうを注視した。)

ズッ・・ズズッ・・

(波紋から。
一人の人影が現れた。)

(人影は、ゆっくりと、
手足を水面から出し。 しなやかな足から腰。

胸の形が現れる。)

(深紫色の。 長いマントに身を包むその男性は。)

(最後に、長身の身体を上げ。 まるで、
嵐を抜けて来たかの様に、乱れて四方に伸びる。 青い髪が覆う顔を上げた。)



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