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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter20 『迷子』 20-4


「ニャァ」

(微笑みは冷たく。 傍の黒ネコを萎縮させたが。 そのことがかえって、
黒ネコを惹き付けた。)

フェルゼン「・・ここが地上か。」

「まさか、この俺が・・。」

「こんな処へ、足を踏み入れる日が来るとは・・。

思いもしなかった・・。」

「くっくっ・・。 思った通り。」

「汚らわしいところだ・・。 なぁ・・。」

「俺が・・汚れる・・。」

「だが・・、仕方がない。」

「目的の為だ。」

(男性の目は、笑ったが。 口元には、不敵な笑みが浮かぶ。)

(見た事もない、深紫色の靴を履く両足が、小町通り赤いレンガの道の上に
降り立つ。)

スゥッ

(しかし、男性の姿は。

映しだした、映像を見ている様に。 薄く。)

(その場に存在していない。)



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