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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter20 『迷子』 20-6


チリリッ

(苛立つ男性の動きに合わせ。 鎖は、音を立てた。)

フェルゼン「チッ・・。」

(先程から、いまだ実体を持たない自分の身体にまで届く。
この街の気配が。

許せなかった。)

(自分に触れる風にさえ、なぜか男性は苛立ちを覚えた。)

フェルゼン「来い。」

(男性は、クロエと呼んだ黒ネコに。
片手を差し出す。)

「ニャァ」

(黒ネコは、男性の手に飛び乗ると。
深紫色のマントを翻す。 男性の肩に、駆けあがった。)

ヒュアッ

(肩に飛び乗った黒ネコは、
不思議な黒い煙に包まれた。)

(と、同時に。

舞い上がる黒煙と共に、あっと言う間に
その姿を変え始める。)

ヒュオッ

(黒煙の中。 しなやかに長く、女性の黒髪が、現れる。)



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