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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter21 『道しるべ』 21-4


(風は、フェルゼンの。 半透明の身体にも届き。
深紫色の。 星座が煌めく、長いマントの裾をはためかせる。)

フェルゼン「くっ・・。」

(乱れて四方に伸びる、青髪の奥。 フェルゼンは、不快な表情を刻み、
血走る、真っ赤な瞳を揺らした。)

フェルゼン「チッ・・。 うざってぇ・・なぁ・・、こんな身体でも・・、

感覚が残っているというのは・・、

くっくっ・・。

俺の感覚が・・。 腐る・・。」

(フェルゼンの瞳は、まるで。

赤い絵の具を流したように。 水分を含み、光り。
冷たく。 奥に潜む、狂気を隠している様だ。)

(時折吹く、街の風に。 フェルゼンの青髪が吹き乱れ。
見え隠れする。 不安定な気性をざわつかせた。)

(鋭い視線を、街行く人々に投げる。)

フェルゼン『許せるか・・。

こんな処に・・、俺は・・、僅かでも

触れたくない・・。』

(フェルゼンの赤い瞳は。
冷たく、人々を捉えた。)



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