HOMEVoice
Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter29 『ふつつかな』 29-13
素敵な執事のことを思い出していた。)
千波「その、菖蒲くんの話では。
夏樹は、人に対して。 時々、近づいてはいけないオーラを発しているらしいから・・。」
コンコンッ
(開いたままのドアをノックする音に。
3人は振り返った。)
菖蒲「・・お話中すみません。
お車のご用意が出来ました。」
「夏樹様。 紫苑様をお送り致します。」
(ドアの外には、菖蒲が立っていた。)
紫苑「あっ!」
(黒い燕尾服に身を包み。 黒いネクタイが夜の灯りに煌めいている。
美しい白手袋と、自然に調和した、金の装飾がほどこされた燕尾服。)
(黒い四角い縁の眼鏡に、流れる細い黒髪、長い部分を後ろで縛っていた。)
(見覚えのある執事の姿に、紫苑の頬は嬉しさに明るんだ。)
紫苑「ああっ。 やっぱり、あの時の。
執事さんだったんですね?」
菖蒲「お嬢様。
ご無事で何よりでございました。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』