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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter4 『不器用』 4-3


(葵はベッドの上に座り、光を見つめ微笑んだ。)

(薄紫の髪は、葵の腰から、ベッドの上につくほど長かった。)

(光は、葵を見つめながら、無意識に左の肩に手を触れた。)

(肩に留めたピンバッチには、FOT No.7と刻まれている。)

「でも、誰かがここを出ていくわ。」

「出ていく? まさか。」

「契約に反すれば、国から消されるんじゃなかったか。」

(葵は立ち上がって、服を選び始めた。)

「光は、消されるなんて信じていないんでしょう?」

(鏡で衣装合わせしながら、鏡越しに光に話しかける。)

「ああ。 俺たちは能力者集団だ。 一般人に消されてたまるか。」

「そうね。 でも、あの人たちは乱暴だから。」

「まぁな。 相当な武力を持ち出せば、俺たちに害を加えられるかもしれないぜ。」

(葵は、光に振り返った。)

「光。 制裁は、暴力とは限らないわ。」

「・・どういう事だ?」

「きっと、国の人たちは怖い事を考えている。 だから。 じっとしているだけでは

変えられない事もあるの。」



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