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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter56 『傍にいる』 56-10
(少年は、黒い着物の袖から、白く細い肘が。
見えるほど強く。 両腕で、晃の背中を抱きしめた。)
時宗『〈時はまだ・・。〉』
『〈お前を癒さないか?〉』
***
キキイッ
(晃は、山門を抜け。
本殿の扉を開いた。)
(幾つも連なる、和の屋敷の。 正面には、重い柱の門があり。
鳳凰を思わせる、翡翠家の家紋が金色に描かれた。 黒い幔幕が張られていた。)
(本殿は、その奥にあった。)
ジャリッ ジャリッ
(晃は白い敷石の上を歩き、先程、山門に残して来た少年のことを思った。)
晃「あの太刀筋。 黒の着物に描かれた、金の鳳凰。 微かな香の香り、
式神とは。
良く出来た者だな。」
(記憶の中の、幼い頃の時宗と、寸分違わぬ式神に。 晃は、感心し呆れた。)
晃『性格も似ている。 出来るなら、体調まで模すのはやめろ。 笑えない。』
(少年の手足や、身体はか細く。 どこか病んでいると分かった。)
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