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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter56 『傍にいる』 56-11


(あれ程の剣を繰り出すとは、思えない細腕に。
翡翠の家紋が煌く、漆黒の刀。 それは、翡翠宗家当主の証であり、
黒の着物の。 金の鳳凰の紋は。
当主でしか、着る事の許されない。 特別な物だった。)

「艶に、背負わせたくないのは分かるが。」

「艶は、お前が思うほど。 弱くは無い。」

(晃は、微かに呟き。 数百年と続く、重厚な屋敷の。
大玄関へ足を踏み入れた。)

ジャリッ・・

(顔を上げた晃の前に。
長身の、男性が。 待ち構えていた。)

トッ

(大玄関から、男性は。 笑みを含んだ翡翠色の瞳で。
晃に問い掛けた。)

時宗『〈あの式神は、気に入らないか?〉』

(男性は、どこか、先程の少年の面影を残していた。
整った黒髪。 光る翡翠色の瞳が、晃を見下ろした。)

時宗『〈迎えに来たぞ。〉』

『〈わたしをこれ以上、待たせるな。〉』

(男性の言葉は、その身に纏う、漆黒の着物から発する
重い、怨念を帯び。 晃に届いた。)

「・・冗談も大概にしろ。 お前が言うと。 別の意味で、心底恐ろしく聞こえる。」





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