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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter56 『傍にいる』 56-13


「兄様っ! 兄上もっ!」

「早く、来なされっ。」

「楓が、御馳走を用意しておる。」

「兄上はっ、食べなくても良いがの。 我らは腹がすくのじゃ。」

(艶は、華やかな、赤の着物を着ていた。)

「兄様っ、似合うかっ? 兄様は、またまっ黒じゃの。」

(艶は、晃の迷いに答えを出していた。)

(目が覚める様な、艶やかな着物を纏う艶の姿に。 晃は微笑んだ。)

「ああ・・。 良く似合う。」

***

(夕刻まで、4人は、共に過ごした。)

(艶は、うとうととし。 黒い袴姿の男性の、膝の上で、休んでいた。)

「ん・・ん。 わらわは・・もう食べれぬ・・。」

(艶は、寝言を言った。)

「寝言か・・。 はしゃぎ過ぎて、疲れたんだろう。」

(様子を見ていた晃は、そっと呟き。 腰を上げた。)

トッ

「楓。 世話になったな。 俺はこれで、失礼する。」



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