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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter56 『傍にいる』 56-15


踏み入った。)

コォォォォー・・

(手元の和蝋燭が灯す。 道の先は、緑の茂る。 小道に続いている。)

(その先は、山奥のせいか、夕闇のせいか。 仄暗く。 行き先は、緑の木々と、
暗い空に閉ざされていた。)

(現実世界へ続くとは思えないその道を。 晃は、蝋燭をかざし進んだ。)

『一番怖いのは、お前の式神だ。』

『気を抜けば、命を取られる様な気がするよ。』

(晃は、細道の先で立ち止まり。 艶の炎をかざした。)

ポウッ・・

ポウッ

(その気配に応え。 細道の前方。 左右に、艶の炎を分け、石灯籠が
鮮やかに幾つも灯り。 辺りを、急速に、温かなオレンジ色に包んだ。)

『・・俺が泣くだと。』

『お前の式神に、また馬鹿にされた。』

『・・・。 泣くか、あほう。』

(晃は、左右の石灯籠の間を歩き。 灯りが、晃の、黒い服を映し出した。)

『いい加減、さっさと。 式神も・・連れて行け。』

ポッ・・



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