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Voice ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter56 『傍にいる』 56-4




踏み出した。)

ゴォォォォッ・・

ドンッ・・!

(晃の、黒い靴が、山門に踏み込んだ途端。)

(切り開かれた土地に見えたその場所は、
一変した。)

ドロドロドロドロッ・・

(まるで、何かが溶けだしたように。 晃が踏み込んだ山門の内側は、
青い空や木々から、赤黒い液体が染み出し、天上から。 土の上に流れ出た。)

(それは、“闇”とは違う圧力で、晃の頭上に。 伸し掛かった。)

ドロッ・・ドロロッ・・

(赤黒い液体は、あっと言う間に。 緋色の鮮やかな鳥居を飲みこみ。
振り向いた、晃の背後で。 漆黒の門へ姿を変えた。)

「ふん。

相変わらず・・。 中は、酷い状態だな。」

「浄化しても、一月でこれか。」

「確かに。 荷が重い。」

(晃は、姿を現した翡翠の黒い山門に、鮮やかに描かれる。
金の鳳凰の家紋を見つめた。)

(家紋から、目を離す瞬間。 早くも、晃のもとに、
襲い掛かる者がいた。)



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