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Voice 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter80 『太陽と月(月)』 80-13
狐次郎「狐次郎が、遊びに来たと。 あいつに言っとけ。」
(そう名乗った男は、奇妙に傾いた歩幅で。 本部の前から消えた。)
菖蒲「・・・。 何なんでしょうか、あの人は。」
「はっ、そんな場合じゃありませんよ。」
(菖蒲は気を取り直し、リムジンを停めた、空間通路を目指し。 本部横の道を、
奥へ進んだ。)
菖蒲「聖様・・。」
「夏樹様にご無理をさせない、秘策があるからと、おっしゃっていたのに・・。」
「これでは、逆効果じゃありませんかっ。」
「・・聖様の施された力を破って、戦うなど。」
「千波様の代わりに、私がしっかりと、叱らなければ・・。」
***
シュンッ バタンッ・・
(異空間の通路を走り。 菖蒲は急ぎ、白いリムジンから降りた。)
菖蒲「言って差し上げなければ、なりません。」
「言って・・。」
(だが、現場である異空間に辿り着いた菖蒲は、夏樹を叱ろうと思っていた言葉を。
一瞬で忘れ。)
(目の前に広がる、信じがたい光景に。 黒縁眼鏡の奥の瞳を、大きく見開いた。)
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