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Voice 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter80 『太陽と月(月)』 80-9


(通信機の向こうの夏樹が、いつも通りで。 静乃は驚きつつ安堵した。)

夏樹[「やっと、もとの姿に戻せてよかった・・。」]

静乃「・・・っ。 そうね。」

(込み上げた涙をこらえ、静乃は微笑んだ。)

静乃「待ってて、すぐに菖蒲くんに迎えに行ってもらうから。」

「授業が始まるまでに、戻ってくるのよ。」

(静乃は笑顔で、通話を切った。)

***

夏樹「え・・? 休ませてくれないんだ。」

「くっくっ。 静乃さんも、けっこう鬼だね?」

(夏樹は、風見ヶ丘高校の制服を着た、少女をそっと。 安全な場所に横たえ、
立ち上がり。 肩についた結界の破片や、土埃を払った。)

夏樹「はぁ。 これだけ壊したら、聖に叱られるかと思ったけど。」

「怒って現れないところを見ると、好きにやっていいってことかな?」

パリリッ

(破片は、足元で、七色に光り落ちた。)

夏樹「これが現実だったらと思うと、ぞっとする。 聖に感謝しないとな。」

(夏樹は、砕けた、車両の残骸を見て、目を細めた。)



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