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ストーリー

* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * より
Chapter35『遮るもの』

シナリオ

シュウッ・・

コオッ

(数馬と蒲公英は、静乃に連れられ、桜が丘の上まで、空間移動して来た。)

(丘の上の二階建ての建物の前で、
静乃は蒲公英の母である桜に迎えられ、蒲公英を見た桜は、とても安心した様だった。)

数馬 「へぇ〜っ、ちびの家って、ここなんだ〜。」

(数馬は、目に着かない場所に離れ。
遠くから。 一人。 蒲公英が、母に迎えられる様子を見ていた。)

(小さな身体に。 カラフルなスニーカー、カラフルな半ズボン。
いくつものマスコットやバッジが、アレンジした制服に付いている。)

(茶色のふわふわした髪に、仄暗い街灯の下で、
かわいい帽子に付いた、ピンバッジや、
FOT No.8と刻まれた赤いバッジがきらきら光った。)

蒲公英 「ママーっ! ただいま〜!」

(数馬のところまで聞こえる元気な、蒲公英の声が。
夜道に響いた。)

数馬 「・・ん。」

(数馬は、玄関の明かりの下で、
蒲公英が、桜の腕に抱きしめられる様子を見つめた。)

数馬 「ガキだな〜、ちびはっ。」

(言いながら、数馬は、被っている帽子に触れた。
数馬の胸に、寂しい気持ちが。
込み上げた。)

-1-

数馬 「そういや、夏っちゃん。 どうしたかな〜っ?」

「めちゃくちゃでっかい、闇のけはいだったっ!」

「電話してみよっかな〜?」

(静乃と桜が、遠く。 玄関先の、オレンジ色の街灯の下で話しているのを見てから。)

(数馬は、制服にアレンジし、付けたカラフルなポケットの中から。
携帯を探し出した。)

ジャララッ

(携帯に下げられたストラップや大きな飾りが、音をたてた。)

蒲公英 「数馬くんっ!」

数馬 「わっ!///」

(ポケットを探り、下を向いていた数馬は、目の前にいつの間にか戻って来ていた
蒲公英に気付かなかった。)

数馬 「っ! なんだよっ! ちびかっ。」

「びっくりさせんなって。」

蒲公英 「えへへ〜。」

(蒲公英は、楽しそうに笑っていた。)

数馬 「早く行けって。 こっちへ来んなっ! またしんぱいすんだろっ!」

(数馬は、玄関先の様子を横目で気にしながら。 蒲公英を追い払おうとした。)

蒲公英 「あ〜っ。 数馬くん。 それいいな〜っ。」

-2-

(蒲公英は、数馬の手にした携帯を小さな指で、指さした。)

数馬 「こっ・・これはっ! べつにっ、さみしいから夏っちゃんに

電話しようとか・・、そんなんじゃないぜっ!」

蒲公英 「?」

(数馬は何やらあわてたが。 蒲公英は不思議そうな顔をした。)

蒲公英 「数馬くんっ。」

数馬 「・・っ、何だよっ!」

蒲公英 「これっ。 ありがとう!」

(蒲公英は、胸元につけた、小さなピンバッジを指さした。)

(そこには、赤い片羽根と共に。 Friendの文字が刻まれている。)

蒲公英 「たんぽぽと数馬くんは〜。 おともだち。 だよね?」

(紺色のプリーツの入った、ワンピースのスカートが。 夜風に揺れた。)

(襟元には、小さな赤いリボン。 肩ほどの長さの、薄いベージュ色の髪が、
蒲公英の笑顔に揺れる。
右横の髪にとめた、青い小鳥型の髪飾りがとても可愛らしい。)

数馬 「ん。」

「そ〜・・、してやってもいいぞって、こと!」

(数馬は、ふてくされながら、頬を赤らめた。)

数馬 「けどっ! いいかっ、ちび。」

-3-

数馬 「外のせかいは、きけんがい〜っぱいなんだっ!」

蒲公英 「うっ・・、うん。」

(蒲公英は、不安げに頷いた。)

数馬 「オレたちの、プロジェクトにかかわったらなっ。」

「こ〜んなっ、足がい〜っぱいの。

ぐちゃぐちゃした虫とか・・っ。」

(数馬が、小さな両手の指先をぐちゃぐちゃっと動かして見せた。)

蒲公英 「きゃっ。///」

(蒲公英は、小さな両手で、顔を覆った。)

数馬 「こ〜んなっ、まっ黒くて

でっかいおばけが出るんだぞっ!」

(数馬は、両手を大きく広げて、怖そうな顔をして見せた。)

蒲公英 「ううっ。 たんぽぽっ、いやだ〜っ。;」

(蒲公英は、泣き出しそうな顔をした。)

数馬 「いいか。 たんぽぽ!」

「もしそいつらに会ったら。

すぐにオレにしらせろよっ。

オレ、すっげー強いから、やっつけてやる!」

-4-

蒲公英 「・・ほんとに?」

数馬 「ほんと!」

「そのバッジは、そーいう意味だよっ。」

(数馬は、カラフルな服に付いた、いくつものバッジをカチャカチャと鳴らしながら。
元気良く。 蒲公英の胸元のピンバッジを真っ直ぐに指さした。)

数馬 「それを付けてれば、みんなが助けてくれるっ。」

「お前、ちっこいからな〜。 すぐに闇にくわれちゃいそう・・。

いいか! ちびのことは、しかたね〜から。

このオレが守ってやるからなっ!」

蒲公英 「うん!」

(蒲公英は、笑顔で頷いた。)

***

-5-

『遮るもの』
Part of Chapter35 End

Fragment of Time・・・時の欠片の道しるべ

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