Chapter35 『遮るもの』 35-1
シュウッ・・
コオッ
(数馬と蒲公英は、静乃に連れられ、桜が丘の上まで、空間移動して来た。)
(丘の上の二階建ての建物の前で、
静乃は蒲公英の母である桜に迎えられ、蒲公英を見た桜は、とても安心した様だった。)
「へぇ~っ、ちびの家って、ここなんだ~。」
(数馬は、目に着かない場所に離れ。
遠くから。 一人。 蒲公英が、母に迎えられる様子を見ていた。)
(小さな身体に。 カラフルなスニーカー、カラフルな半ズボン。
いくつものマスコットやバッジが、アレンジした制服に付いている。)
(茶色のふわふわした髪に、仄暗い街灯の下で、
かわいい帽子に付いた、ピンバッジや、
FOT No.8と刻まれた赤いバッジがきらきら光った。)
「ママーっ! ただいま~!」
(数馬のところまで聞こえる元気な、蒲公英の声が。
夜道に響いた。)
「・・ん。」
(数馬は、玄関の明かりの下で、
蒲公英が、桜の腕に抱きしめられる様子を見つめた。)
「ガキだな~、ちびはっ。」
(言いながら、数馬は、被っている帽子に触れた。
数馬の胸に、寂しい気持ちが。
込み上げた。)
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