Chapter80 『太陽と月(月)』 80-12
「国家指定の能力者を、理由なく野放しにすると思うか~?」
(菖蒲の黒い瞳が、四角い黒縁眼鏡の奥で、揺れた。)
「ひっひっ。 おめーは、おめーのご主人さまを、自由にしてもらえたと
思ってんのか~?」
「そう思ってんならよー。 お人好しだ。 利用されてるだけだぜ。
おまけに、夏樹は、石垣首相くんにも。 目~つけられてる。 誰が逃がすか?」
「あのお嬢ちゃんを守ろうなんてよー、丁度良い理由つけて。
街に泳がせてるだけさ~。」
「証拠によぅ。 聖の兄ちゃんは、あいつを止めね~さ。」
「“闇”はまた、動き出しただろうがー。 ひっひっ。」
「あんな力の使い方してたらよぅ。 あいつ、もたねーぜ。」
(不吉な男性の言葉に、菖蒲は白手袋の手を上げ、制すと。 鋭い視線を返した。)
「・・その様なことはありません。」
「これ以上私に関わるのなら、本部に報告を上げねばなりませんよ。」
(男は薄ら笑いを浮かべ、すごすごと、菖蒲から距離を置き、引き下がった。)
「へいへいっ。 さすが、専属執事様、こえーこえーっ。 ひっひっ。」
(男は去りながら、後ろを振り向き、喋り続けた。)
「せいぜい、国の連中に、捕まらねーように気を付けろよ。 生きて帰れね~ぜ。」
「FOTが国家公認だからってよぅ、国はおめーらの味方じゃね~っつーこった。」
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