Chapter80 『太陽と月(月)』 80-1
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ゴオォーン・・
(どこからか、鐘の音が聞こえる。)
(異国の衣を纏った。 美しい女性の指先が、
幾つも眩い宝石を散りばめた、重量を感じる、大きな王冠を。 空色の髪の
少年の頭上に乗せた。)
ゴッ・・ゴゴッ・・
(黒煙とともに、黒服を纏う、美しい女性が現れた。 薄紫のソバージュの長い髪、
黒い瞳に、長い睫毛。 ゆっくりと見開き、黒い唇が、笑い。
囁いた。)
【封印されし、“闇の樹”の源よ・・。】
【滅びることの、無いこの力。】
【果てるまで、滅ぼさん・・。】
【我と共に、この世界に終焉を・・。】
ゴオォォォー・・ッ
ゴワッ・・!
(女性の胸元から湧き上がる、黒い波は、大聖堂を覆い。
国土を流れ、最果ての。 砂漠の境界へ辿り着くと、空の彼方。
上空に浮かぶ、巨大な黄色に光る、扉の向こうへ。 吸い込まれて
消えた。)
(黒波を飲み込むと。 扉は閉まり、上空からその姿を消す。)
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