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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-1


(朦朧とする意識の中で。
夏樹は、遠退く、一点の光を見ていた。)

(身体を刻み付ける魔法の糸は、
夏樹を地中深く。 トンネルの奥へと。
引きずり込んだ。)

(圧し掛かる、“闇”の圧力が、トンネル内の
空気を奪う。)

ゴオオオーッ

・・トプンッ

(深い、紺色の瞳の遠くに。
見えていた最後の光が、消えた。)

シュルルル

(糸が、奥へ、連れて行く。)

ゴポッ

(黒く覆われる、視界の向こうで。
重く、幾重にも、黒い扉が閉じられて行く。)

(遠く、重なり、響く。 鍵の掛かる音。)

(絶望が、夏樹を包み。)

(幼いころの、記憶を呼び覚ました。)

・・リーン・・

(心を守るように、夏樹の胸元で、小さな指輪が音を立てた。
途端に、痛みから切り離され。 夏樹の意識は、幼い頃の身体の中で、甦った。)



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