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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-2


「はっ・・!」

(暗闇の中、目を開いた、幼い夏樹が。 振り返り、見送ったのは。)

(地中深く、糸に絡め取られて行く。 高校生の夏樹の身体だった。)

トッ トッ・・

(足元で、閉じられた、黒い扉に。 小さな両手ですがったが、
扉は開かず。 高校生の姿の、自分を救うことは出来ず、
追うことも出来なかった。)

(しゃがみ、扉に触れる、幼い夏樹の耳に。 足音が聞こえる。)

「・・っ。」

(幼い夏樹は、顔を上げた。)

「・・だれ?」

(現れたのは、自分と同じ背丈の。 子供だった。)

(だが、普通の子供では無い。 きらきらと煌めく、
星屑の輝きが。 頬に、目元に描かれ。 透き通る瞳に、睫毛。
輝く髪は、金色で。 魔法使いの様な、美しいマントを着ていた。)

(子供の目元は、優しく微笑み。 睫毛に飾られた、星の様な、
小さな宝石が、瞬く度に、七色に光った。)

【・・ぼくは、ここに居ない。】

【ここは、君の、心の中だから。】

【指輪の記憶が・・ 解かれようとしている・・。】



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