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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-1
(深い紺色の瞳が、開いた。)
(朝靄が、森の中に立ち込め、頭上高くそよぐ。
緑の葉から、朝日が差し込み始めた。)
サクッ
(細い光が、夏樹を照らし。 鳥や虫たちの息吹を感じながら。
森を歩く。)
「青葉。」
「おはよう。」
(ここは、孤独ではなかった。)
(白い指先が、一本の樹の幹に触れ、その根元に眠る青葉に、
挨拶を告げると。 頭上を見上げた。)
サワサワサワッ
(涼しい風が、深い紺色の髪を巻き上げ。 夏樹のシャツの襟元を揺らす。)
(それでも、夏樹は。)
(以前の様に、風を感じることが出来なかった。)
***
「突然の訪問で、すまない。」
(静乃に案内された、来訪者は、古い洋館の中で。 心地良い応接室に通され、
ソファーに、長身の、美しい体を沈めた。)
「こちらこそ。 お構いも出来ませんで。」
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