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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-100


(心を善に操られた、石垣は。 聖への恐怖心も無くし。)

(青葉への想いも失っていた。 守るべき者を失った石垣は、
萎びた抜け殻の様に。 深い闇に溺れ。 空洞の目をしていた。)

【FOTを抹消する】

(痩せこけた頬に、生気は無く。 善の魔力を受けた瞳が、
奥底に、引きずり込む様に、黒く。 染まっていた。)

(石垣は、憎しみを込め。 強い力で、紙の上に、
印を押した。)

(皺の寄る手に、込められた力。 眼鏡の奥の、骸骨の様な瞳に、
灰色の髪がかかる。)

(石垣はにやりと笑い。
攻撃の口火を切った。)

***

「現場から中継です。」

(皆を送り出した、snow dropのダイニングで
桜は、テーブルを拭いていた手を止めた。)

(間近な地域のニュースであれば、
普段より気にかかる。)

(けれど、桜はそれ以上に、
この出来事を案じ。 話題に上る人物の無事を願った。)

「見て下さい、この様に、北通り一面が、破壊されています。」

「一体、原因は何なのでしょうか?」



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