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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter19 『甘い誘惑』 19-11


(赤く頬を染める佐織の口元に。
倒れる瞬間、クレープの白いクリームが
ついてしまったのを見つけた。)

「宜しければ、これをお使いください。」

「それでは、私はこれで。」

(菖蒲は、燕尾服の胸ポケットから。 白いハンカチを取り出し、
佐織に手渡した。)

「失礼いたします。

お嬢様方。」

(菖蒲は、右手を左胸に添え、深々と三人にお辞儀した。)

「お待たせしました、

いちごスペシャルです。」

(店員から、クレープを受け取り。 菖蒲は三人の側から離れた。)

(去ってゆく、菖蒲の背中を、
三人以外も。 多くの女の子達が、振り返り見送った。)

「・・っ!」

(佐織は、白いハンカチを受け取り。
茫然としていた。)

「素敵な人だったね。 佐織ちゃん!」

「どこから来たのかな?」

(紫苑は、人波に消えていく、菖蒲の背中を見つめた。)



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