HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter21 『道しるべ』 21-3


(紫苑は、静かに。
脅かさないよう、小さな黄色いひよこを
両手で拾い上げた。)

「かわいい〜v

ふかふかだね。」

(ピンクに色づく頬で。
そっと、温かな。 黄色い羽毛に触れた。)

「どうしてこんな所にいるのかしら?

ふふっ。 ネコさんに見つかったら大変よ。」

「ああっ!

そうだ、クロを探してるんだった。」

(紫苑は慌てて立ちあがった。)

***

「クロ〜っ。」

(紫苑の呼び声に、気づいた。)

(クロエが再び、小さな黒ネコの姿に変わり、
フェルゼンから歩き出した時だった。)

サァァッ

(実体を持たない、フェルゼンの身体に。
街並みを抜け。 風が吹く。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ