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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter23 『温度差』 23-10


出て来れないよ〜・・。」

「・・確かに。そうですね。」

(夏樹を心配し。 祈る様に組んだ、白手袋の両手から
顔を上げた。)

「菖蒲ちゃんと〜・・、心中は〜・・。

僕は〜・・、嫌だなぁ〜・・。 ・・ぐぅ。」

『・・人が、真剣に夏樹様を心配しているのに・・。』

(こんな時でも微かに聞こえる寝息に。
菖蒲は苦笑した。)

「・・言いたい事は、それだけですか?」

(振り向いた菖蒲に。 白は、後部座席から、微笑んだ。)

「・・菖蒲ちゃ〜ん・・、お水を買ってくれて〜・・

・・ありがと〜・・。」

「・・ははっ。」

(そんな場合ではないのに、菖蒲は白の言葉に
元気づけられ、思わず笑った。)

***

(静乃は、夏樹と共に、
一人の少女が、消えたことを確認していた。)

「・・まさか、夏樹くん以外の子に。



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