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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter36 『はじまりの夜・ひとひら』 36-14


(ベッドルームから見える、壁面には。 春の香りまでしてきそうな、
大きく満開の桜が、目の前に花開いていた。)

「紫苑さんが、言ってた。 来年、見れるかもしれない

景色かな?」

「ふふっ。 一足先に見れた。」

(夏樹は、嬉しくなり。 満開の桜の絵に近づいた。)

「ん・・?」

(夏樹は、絵に近づき。
ふと、右下に、小さく刻まれた。 サインを目にした。)

(青いサインのローマ字を、夏樹は白い指先で触れるほど近くで読みあげた。)

「R・U・I」

(青い文字は、流れる様な筆記体で、RUIと書かれていた。)

「ルイ・・。」

「もしかしたら、さっきのひとひらは。

ここから散ったのかもしれない。」

(夏樹は微笑み、心地良い充実感に満たされ、
白いシーツの柔らかなベッドに向かった。)

***

(紫苑は、幸せな気持ちになり。 金の小箱を手に、
部屋に戻った。)



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