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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter36 『はじまりの夜・ひとひら』 36-3


(夏樹は、笑った。)

「いえ・・。」

(言葉に出すには、ストレート過ぎて。 菖蒲は何と言って良いか。
分からなかった。)

(言葉に出来ずに、深い紺色の瞳を見つめた。)

「・・・。」

『私を置いて、どこかに行ってしまわないで下さい。』

(このバッジを渡す事で、夏樹がどこか、遠くへ行ってしまう気がした。)

「ははっ。

変な奴だな。 何も心配ないよ。」

「この家は、丸ごと。 聖の結界に、何重にも守られてる。」

「何かあったら、知らせるし。

心配ない。」

(夏樹は、微笑んだ。)

「そうですね。」

(菖蒲は、安堵し。
白手袋の手から。 夏樹の、冷たい白い指先に、
金色のジュエリーボックスを渡した。)

トッ

(部屋に戻る夏樹に、菖蒲が声をかけた。)



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