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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter37 『時を生きる』 37-9


「僕が、君と居る今。

どれだけ幸せか。

気付いていないわけじゃないだろう?」

【・・・。】

(粒樹は、聖に触れ。 吐息が届く傍で、
小さな唇を震わせた。)

【・・ごめんなさい・・。】

「・・!・・」

(粒樹の深い紺色の瞳からは。
ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。)

「・・粒樹。」

(聖は、粒樹を抱き寄せ、口付けた。)

(深い紺色の。 柔らかなソバージュの髪が揺れる。 小さな頭を。
銀の指輪が光る大きな手が、強く支えた。)

【・・・っ。】

(二人は幾度か口付けた。)

『思い出は・・。』

『僕の心を揺り動かし。』

『時には、僕の心に力を宿す。』



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