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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter43 『白い色彩』 43-1


***

(大会議室の中は、多くの、プロジェクト参加大臣で溢れていた。)

≪「では、次に現在の。 風見市内の、結界分布把握でありますが・・。」≫

(モニターの向こうに映し出された、本会議室の様子は、予想に反し。
実に静かだった。)

「ふん。 臨時の会議だ、こんなものだろうが。

しかし、彩殿が居なくては・・。 ふわ〜ぁ。 来る甲斐も無いわ。」

(小太りの大臣は、すでに飽き。 隣にいた大臣も同感だった。)

「まったくですな。 すでに複数、欠片を回収したと、聞きましたゆえ。

今日はお会いできると思いましたがな。 ふぅ・・。」

(淡々と読み上げられる、近況報告は、次第に。 参加大臣たちの眠気を誘い。
国家生命科学研究所の彩が、欠席のため、配布された。 手元の資料は、
素人にはほとんど、理解不能だった。)

≪「また、これまでの研究成果から、風見市内の欠片は純度が高く。 あとわずかな、

闇の痕を消すことが出来れば。 欠片の活用、実現に向け、予測し得る可能性を・・。」≫

(初めて見る、国家公認能力者集団の、司令官の様子を。
また、初参加で、首相や、重役たちのやり取りを聞けると期待していた参加大臣は、
がっかりした。)

(モニター越しに見る首相は、テレビで見ているのと同じく。 形作られた笑顔を浮かべ。
報告に頷き、時折、指示を出しているだけで。 変わりなく。
聖に至っては、一言も発せず。
ただ、銀の指輪がいくつもはめられた。 長い指先の両手を組んだまま。
首相の座る椅子の背もたれの向こう。 閉ざされた窓へ視線を向けて居た。)



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