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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter43 『白い色彩』 43-2


(モニター越しでは、一見。 報告を真面目に聞いているようにも見えたが。
首相の目を一度も見ず。 僅かにずれた視線の先に、何もありはしない事を。
首相自身は分かっていた。)

***

「・・以上で、全体会議を終わります。」

ピッ ガガガッ・・

(モニターが閉じられ。 臨時の全体会議が終了した。 ただ、そこで話されたことは。
FOT VIPの一人が、機密事項保持者監視のため、新たな任務として。 風見市内に
配置された。という事に留まり、それについて、全体会議場内では、誰もそれほどの関心は無く。
反対する者は居なかった。)

トットッ

(大会議室から出て行く、無数の人の足音が遠く聞こえる中。
先ほどまで話していた、重役の一人の進行係が。 本会議室内、黒いテーブルの
自身の席に戻った。)

カタンッ

「・・時間を費やしたな。 では、本会議を始めようか?」

(首相の顔からは、形作られた笑顔が消え。
本来の、頬骨が目立つ、固い筋張った顔に戻っていた。)

「まず初めに、聖。 私に言うべき事があるはずだ。」

(灰色の少しカールした髪を揺らしながら。
筋張った両手を組み。 眼鏡の奥の、どこか冷徹にさえ見える。 光の無い瞳で
首相は聖を見据えた。)

「・・・。」



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