HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter44 『相容れぬもの』 44-1


「風・・だと?」

(黒テーブルの向こうから、彩の掲げた小さなガラスのシャーレを見つめ。
重役たちの視線が集まった。)

「そうよ。」

(微笑む彩の、赤いネイルの指先にある、シャーレの中身は。
空に見えたが。 重役たちにさえ、まるで、そこには何かが入っているかの様な。
不思議な気配が感じられた。)

「・・それで?」

(黒テーブルの奥、正面から。 頬骨が目立つ、筋張った顔が、彩に視線を投げかけた。)
(眼鏡の奥の、光の無い瞳。 首相の声には、彩の持ってきた物への、嫌悪感が
込められていた。)

「・・皆さん、これまでの研究データからもご存じの通り。

FOT VIP No.3 雨宮夏樹君には、他のFOTメンバーよりも。 優れて闇を見極める力が

備わっているわ。」

(彩は、怪訝な表情を浮かべる面々に、語り始めた。)

「もちろん、私達研究所と、オペレーター静乃さんの分析力により、

日時までは、予測不可能でも。 闇化が起こりやすくなっている状況は、

分析出来ている。」

「そこへ、メンバーを送り込んでいるのだから。

当然と言えば、当然なのだけれど・・。

特に、聖君が。 ターゲットとなった街へ。 空間を結合し始めてから。



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ