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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter46 『見えない敵』 46-1


ザワザワザワッ

(夏樹は、銀杏並木の下を歩いた。)

(小町通り商店街同様に、この風見通りも。 朝の人々の活気に溢れていた。)

トットッ

(手を繋ぎながら、小さな子供を送っていく。
お母さん連れが、夏樹の横を通り過ぎた。)

『やっぱり、この街はなんだか落ち着く。』

『本部のある街も賑やかだけど、ここは何だか少し

時間の流れがゆっくりな気がする。』

ピピッ

(背の高い銀杏並木の木漏れ日の下で、瞬きする夏樹の側で
小さな機械音が鳴った。)

「くすっ、なんて言ってる場合じゃないか。」

(白い左腕にとめた、黒い腕時計の文字盤には、
揺れ動く、いくつもの針とともに。 時々点滅する、無数の赤い光が
映し出されていた。)

「闇化しそうな欠片が、こんなにあるんじゃ。

切りがない。」

「この中の、どれが先か・・。」

「誰の中に居る・・?」



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