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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter56 『傍にいる』 56-20


「くっ。

相変わらず、直球だな。」

(晃は、感傷の余韻さえも打ち壊す。 時雨の言葉に苦笑した。)

(時雨は鋭く睨んだ。)

「あれが、ただの墓参りか?」

「あんなところへ行くのは、命知らずな馬鹿だけだ。」

「俺は、お前の執事だ。

俺に、待っているなと言う、お前の気が知れない。」

「生きているやつから、選べ。」

(その言葉に一瞬。 思わず目を見開いた後。 晃は、まだ雨粒が滴る、額に手をやり、
笑いだした。)

「あっはっはっ。」

「もっともだな。」

(時雨は、晃に、深々と頭を下げた。)

「申し訳ございません。 お気を悪くされましたか?」

(晃は微笑んだ。)

「いや、良い。」

「傍にいるのが、お前で良かった。」



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