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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter56 『傍にいる』 56-8


トッ・・

『あほう・・。 少しは、分別を付けろ。』

(間近に迫ったその者は、小さな霊魂すら逃さず、鋭い太刀筋で切り捨て、
真っ直ぐに。 晃のもとに向かって来た。)

ギギャギャギャギャーッ・・

(最後に残された、一匹の妖魔に、振り上げられた刀は、強い煌めきと共に、
晃の眼前に向けられていた。)

(あっという間に、黒い着物と。
中空にはためく、黒い袴から覗く足先が、迫り。)

ヒュウッ

(振り上げた、日本刀と。 それを握る。 白く細い腕が、
飛び込んでくる。)

ギギャッ・・

ズバッ・・!

「くっ・・。」

(晃は、妖魔と共に、自分の周りの、木々が切られぬ様、
瞬時に、木々を閉ざした。)

ザザッ・・

キンッ・・

「・・うっ。」

「・・仕舞え。 俺も切るつもりか?」



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