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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter70 『夕暮れに染まる』 70-1


ゴッ

ゴォォォーッ

(強い風に巻き上がる黒い闇が、いくつもの筋になり、
目の前を行き過ぎる。)

ドクンッ

【ゴォォォォッー!】

(伸ばした腕の、白い指先が。 流動する黒い物体の間に、
僅かに煌めく、小さな光を掴んだ。)

キンッ

バババババッ

(黒い物質は、散り散りに砕け、紺色の瞳の前で、
透明な雫になり。 辺りに散った。)

パシャシャッ・・

(水滴を、スニーカーの足が踏みしめ。 夏樹は地面に降り立った。)

「・・はぁっ。

ほんとに、切りが無いな。」

「これで、この辺りは。

大丈夫か?」

(腕に着いた水滴を振り払い。 夏樹は、左腕に留めた黒い腕時計を見つめた。)

ピッ



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