HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter73 『夜のひと時』 73-13


「あの子ったら、練習だって言って。

ほとんど毎日、たくさん作っているのよ。」

「私たちでは食べきれないわね。

ふふふっ。」

(桜は気にとめる様子もなく、笑顔で片隅にある紫苑の練習スペースへ
向かって行った。)

(しかし誠司には、なんとなく。
今朝訪れたというその人物は、クラスメイトではない様に
思われた。)

(だが、夏樹を探しに来たのではないかと、
感じられた。)

『ここへ帰って来たことは。

夏樹君にとって、良かったのでしょうか?』

『彼を、守ってあげなければ・・。』

『侵入を引き止めたのならば。

それは、この家が、

彼を守っているということなのでしょう。』

『けれど・・。』

(桜は、そっと、可愛らしいガラスの皿に、
紫苑の試作クッキーを、乗せ。 誠司の前に差し出した。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ