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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter80 『太陽と月(月)』 80-15
「・・はっ、はい。 千波様からご用意するように、先程ご連絡が。」
「ははっ、何でわかったのかな?」
(気軽に笑い、立ち上がろうと僅かに腰を上げ。)
(途端。 夏樹は、側に立っていた、菖蒲の。 燕尾服の腕を、左手で掴んだ。)
「・・?」
「夏樹様・・?」
(触れた腕に、力がこもった気がして。 そっと、夏樹の顔を覗いた。)
『・・夏樹様。』
(夏樹はうつむき、目を閉じ、右手で胸元を掴んでいた。)
チリンッ・・
(小さな金属音が。 服の内側で鳴った。 夏樹はまだ、菖蒲の腕を掴んでいた。)
「どうか、なさいましたか・・?」
(菖蒲は間近により、不安を覚えながら。 蒼白な程白い、顔を見つめた。)
ドクンッ
(夏樹の胸は、不思議に高鳴り。 鼓動した。)
「・・ひどい通学路だな。」
『僕らがいなければ、現実の世界が。 こうなる。』
(深い紺色の瞳が、静かに開いた。)
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