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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter80 『太陽と月(月)』 80-22


注がれていたのです。」

(ピュアは目を閉じ。 懐かしい我が国を思い出す様に、記憶を無くしてしまった
ソラへ、聞かせる様に。 ゆっくりと、語り始めた。)

(祈り組んだ両手の袖元から、細かなレースが覗き。 柔らかな髪が、
風に揺れる。)

「《光の樹》と、《闇の樹》です。 それぞれの王にはまた、それぞれの力に属する

魔法使いが仕えていました。」

「かつて、《闇の樹》を守るべき《闇の魔女》が、自らの手で《闇の王》を

葬るまでは・・。」

(ピュアは小さく息を飲んだ。)

「王を失えば、“樹”は枯れます。」

「《闇の樹》は、すべて滅びました・・。」

(組んだ手は、小さく震えた。)

「残されたのは、《光の力》だけ。」

「ですから、次の王は、《光の樹》から生まれたソラさまが継ぐべきです。」

「しかし魔女は狡猾で、本来、自らが触れることのできない力の《光の樹》をも

滅ぼす切り札を持っていました。」

「魔女はたった一つ、

自らの力と引き換えに。 滅びたはずの、最後の《闇の鍵》を隠し持っていたのです。」



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