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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter80 『太陽と月(月)』 80-28


『ん・・?』

(どうやら見ると。 同じ2年生らしい少年が。 すぐそばに立っていた。)

『な〜んだ、俺と同じく、遅刻のやつがいるじゃね〜か。』

***

チリッ・・

(色白の少年は、何やら考えにふけっている様子で。 伏し目がちに、うつむき。
シャツの胸元に、驚くほど白い左手で触れたまま。 静かに立ち止まっていた。)

「・・・。」

(近くでソラが見ていることに気づくと。
目を開け。 ソラの方へ振り返った。)

***

『!』

(振り向いた、少年の。 透き通るほど蒼白な顔に。
射る様な強い、深い紺色の瞳の視線。)

(ソラは思わず息を飲んだ。)

「・・っ、おい、お前っ。」

トッ・・

(声をかけようと手を伸ばしたが。 少年は、一瞬で、目を逸らすと。
ソラの前から歩き出し、校内へ向かってしまった。)

(そばに立ったわずかな瞬間。 僅かに触れたソラを、



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