HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter80 『太陽と月(月)』 80-4
「ああ・・、なるほど。」
(夏樹は時計を見て、調子が出なくなった今が。 ちょうど朝から1時間
たっていると、確認し。 理解した。)
「静乃さんまで、僕に内緒で。 聖に味方するんだ?」
[「え?」]
(ドキッとした静乃の声に、夏樹は微笑み。 深い紺色の瞳が揺れ。
楽しげにリラックスして、その場で足踏みをした。)
「時限装置付きで、力をセーブする機能が。 結界内に張り巡らされてる。」
「ったく、あいつ。 ・・そのせいで、僕がやられたら、どうしてくれるんだよ。」
(黒い雫の滴る白い右手は、
風を集めようとすると、静電気を帯び、小さく震えた。)
「静乃さん。 心配させてごめんね。」
「仕組みが大体分かったから、もっと早く帰れると思う。」
「紫苑さんは、学校に着いた?」
(静乃は、嫌な予感を抱きながら、頷いた。)
[「え・・? ええ。 菖蒲くんが送ってくれたから。」]
「良かった。 じゃぁ。」
ピッ
(夏樹は通信機を切り、紺色のネクタイを緩め。 目の前に横たわる、
黒い生き物から、静かに立ち昇る黒煙に。 視線を移した。)
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』