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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter80 『太陽と月(月)』 80-5


『ここからだ。 いつも、あの不思議な“魔法陣”が現れるのは・・。』

(視線の先で、黒い“闇”の巨体に。 不思議な、深紫色の光が、
点滅し、次第に円を描き。 倒れた“闇”の上で、
“魔法陣”が浮かび上がった。)

「・・来い。」

(紺色の瞳に、煌めく光の粒。 異空間の光を集める、
夏樹の瞳が、生き生きと輝いた。)

「今日は、逃さない。」

《闇の力を秘めし鍵》《解き放て》《炎の翼》

(異空間から放たれた呪文は、夏樹には聞こえなかった。 だが、その瞬間を
紺色の瞳は捉え。 爆発的な風を、足元から湧き起こすと、
“魔法陣”が落下し、漆黒に燃える。 炎の翼を手にした“闇”が。 再び力を得て、
空へ上昇するのと、同時に天高く、舞い上がった。)

バッ・・ ゴォォォォォーッ!

***

「夏樹くん・・っ!」

(静乃は、二階の教室の前。 廊下で、手にしていた通信機を取り落としそうになり、
受け止め再び夏樹にコールし。 代わりに、持っていた教科書を、床へ落とした。)

「だめよっ、戻って。」

[「バリリリッ・・! ドオォォォォーンッ・・」]

(静乃の耳元で、異空間の“結界”の天井が突き破られ、
別の異空間へと続く空間通路へ。 “闇”に誘われ、夏樹の身体が風と投げ出される、



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