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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter81 『Ability to・・』 81-1
(仄かな月明かりが、窓辺を照らし出し。 透明なカーテンを、
夜風がそっと揺らした。)
(窓際に置かれた、PCのモニターが、いくつもの色に点滅し。
じっと見つめる深い紺色の瞳の上を、流れては消え。 重要なデータを夏樹に伝えた。)
「・・・。 魔法陣の主は、わからないんだな。」
「どうして、データに映らないんだろう?」
(画面から視線を外し、椅子に背をもたれ、夏樹は考えを巡らせた。)
「手掛かりになればと思ったけど、研究所から持って来た資料にも、
それらしい人の情報はなかった。」
「聖が言ってたみたいに。 外国の能力者なんだろうか・・?」
「それなら、僕らと、違うのも頷ける。」
(手元や、机の上に。 開いたままの資料に視線を向けたが。
鼻に届く、食欲をさそう香りに。 玄関ドアに振り向いた。)
キイッ ガチャッ
「夏樹v 出来たよ。」
「下りて来れる?」
(お気に入りの、大きなひよこ柄のエプロンをした千波が、
ドアから顔を出した。)
(少しくせづいた明るい茶色の髪、健康的に色づくピンクの頬は。 キッチンにかかった
火に灯されたせいか、紅潮して見え。 明るい茶色の瞳は、くるくると笑顔に輝き。
散らかった机の上の書類に手をかけながら、間近で弟の顔を見つめた。)
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