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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter83 『赤い方と青い方、赤いの』 83-1


(夜の繁華街は、まだ人波であふれていた。 道路沿いに続く街路樹が、
涼しい影を作り。 木陰の下のベンチで休んでいる人や。
この街では広い、車道を挟んで両脇に立ち並ぶ。 明るいショーウィンドウを見つめる
人々が多くいた。)

「ソラさまっ!

あれ、ピュア、あのお洋服がいいですっv」

「あれならっv ピュア着たいですv」

(ライトが煌々と照らす、1つのお店のショーウィンドウの前で、立ち止り。
ピュアはぴたっと両手をガラスにつけて、期待の眼差しでソラを見た。)

「んあ? どれ?」

(いくつもの小さな電球が、店内を飾り。 女の子の喜びそうな、かわいらしい小物が
ディスプレイされた店の中は、色とりどりの色彩で、ガラス窓を覗く、2人を映した。)

「あれですっv あれ!」

(ピュアが指さす先を、見ようと。 ソラは、両手をポケットに入れたまま。長身の背を
少しかがめ、隣に寄り添った。)

(通りを行く人々が振り返るほど、目立つ。 ピュアの着ているクリーム色のドレスが。
近づいたソラに、ふわりと揺れ触れる。)

「・・。 ピュア、値段を見ろ。」

「この地上では、数字にゼロが増えると、ケタ違いに高いってことだぞ。」

(少し後ろで、話を聞いていたミイが、ぴょんと店の前に躍り出て。
ソラとピュアの背中に手を触れながら。 2人の真ん中に、わって入り。
眩いガラスの向こうを、瞳を輝かせて見つめた。)

「わ〜っ!/// かわいいっv/// ぜったいこれ! ピュアちゃんに似合うからっ♪」



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