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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-37


「あれだけの数の能力者を、欠片を集めるという、国に協力する目的で、

自由にしてやっているのに・・。」

(石垣は、吐き捨てる様につぶやいた。)

「自由? 石垣・・、お前は僕たちを、同じ人間だとは思っていないじゃないか?」

「これを機に、少し考えを改めろ。」

(石垣の手には、汗が流れていた。)

「罪を・・重ねるのか・・?」

(聖は、小気味よく笑った。)

「くっくっくっ。 僕の罪か・・石垣。」

「触れてはいけないものに触れたのは、お前も同じこと。」

「罪は、償わなければならないな。」

「もっとも、大切な物を引き換えにして。」

「それが、お前の持論なら。 願った通りじゃないか?」

「せいぜいがんばって。 研究を続ければ良い。」

「助けてくれ・・。」

「何?」

(石垣の喉は、緊張感でカラカラに乾いていた。 もう他に、手は無い。)

(いつか、欠片の実権を、手にすることを諦めたわけではない。 ただ、今は、
そうするしかなかった。)



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