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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-36


(ただ、青葉の顔の、すぐそば。 左横から伸ばされた、
血の通わぬ大きな手が。 正面を向いたままの青葉の視線の先へ、ゆっくりと、
差し出される。)

(その手の指先には、するどく長い青い爪が光り。
楽しげに、青葉の背後から、笑う声が聞こえた。)

【くっくっくっ。

少し、遊んで・・やろうか?】

(大きく開いた指の、青い爪先は、青葉の前のガラスに触れ。
身の毛のよだつ、音を立てた。)

【・・なぁ?】

キキッ・・ キシッ・・

ピシッ・・

(鋭く、ガラスに突き立てられた青い爪先が、ゆっくりと、ガラスを傷つけた。)

「・・あっ・・。」

(青葉の視線の先に、紫苑と共に、まだ闇を纏う夏樹が立っていた。)

***

(石垣は、もはや床に伏し。 聖に助けを請うしかなかった。
彩の研究から数々目にして来たあれだけの衝撃に、青葉が耐えられるとは
思えなかった。)

「・・頼む・・、助けてくれ。」

「・・特権を利用するだけで、満足できないのか・・。」



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