HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-1


バッ ゴォォォォーッ!

『暗い闇が、再び目の前に現れようとしていた・・。』

『幾度消しても・・、どの街へ行っても。』

『それは、僕の前に現れ。 守るべき人を、僕から奪う・・。』

『どれだけ力を尽くしても、それは消えてはくれない。』

『幾度となく現れる闇は、まるで困難に似て。』

『繰り返されるたび、立ち上がり、立ち向かうためには、

もっと、勇気がいるようになる。』

『だから、僕は・・。』

『闇を見るたび。』

『いつも、自分を奮い立たせた。』

(ガラスの箱部屋の中に居た、青葉の足元。 底から流れ出る闇の気配は、
まるで、夏樹の纏う気配に、惹き込まれるかのように湧き起こり。)

(流れ出た黒い気流は、次第に激しさを増し。 車椅子ごと青葉の身体を押し上げ。
黒煙に、青葉は気を失い。 目を閉じた。)

ゴォォォォーッ

『僕が、守る。』

(夏樹も目を閉じ。 両腕で、自身を抱える様に、わずかに身体を縮めた。)

(力を抑えるように、内に、閉じ込めるように。 念じながら。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ